四国の新幹線実現を目指して

様々な方の意見

今回の調査結果を御覧になった有識者などの御意見を紹介しています。

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元法務大臣・元参議院議員 野沢太三(のざわだいぞう)
[経歴]
東京大学工学部土木工学科卒業。日本国有鉄道入社後、1981年に長野鉄道管理局長、
1982年に本社施設局長を歴任。1986年に参議院議員に当選。北海道開発政務次官、
参議院外務委員長、決算委員長、参議院憲法調査会会長、整備新幹線建設促進特別
委員会委員長を歴任。2003年に法務大臣に就任。2004年に旭日大綬章を受章。
国鉄改革(民営化)と新幹線整備

国鉄の分割民営化は、市場競争に耐え得る事業体に変革し、鉄道事業の再生を図るべく全国1本の国鉄を、本州3社、北海道・四国・九州の3島会社、貨物と7つの会社に分ける抜本的な改革であった。

本州3社は、新幹線を中心に、都市交通を含めて、順調に業績を伸ばし、世界で1、2の鉄道会社として評価されるような状態になっている。しかしながら、本州3社は、順調に民営化が進められたが、難しい3つの島と貨物が残されている。当初目標とした民営化の成果を全国に行きわたせるという大きな課題が残されている。

現在、3島会社については、改革27年を経て、九州では、新幹線が鹿児島まで整備され、今後、長崎まで整備されることとなっており、その効果で間もなく上場の見通しがついたところである。

四国の鉄道が、高速道路や航空機などの交通ネットワークに対抗していくためには、新幹線を含む鉄道の高速化が大きな武器となる。四国の鉄道の存亡に関わる大きな課題であり、新幹線の収入によって赤字のローカル線を維持することも可能となり、四国の鉄道の再生の要になる。

新幹線整備は公共事業

全国の基本インフラである高速道路や港湾の整備は、国2/3、地方1/3という財源スキームとなっており、現在の整備新幹線スキームも公共事業のスキームである。

整備新幹線のスキームは、民営化により新たに生じた、国鉄時代には納めていなかった国税や地方税等を、国や地方を通してJRの投資にまわすという考え方である。JRの負担は、開業してからの利益に応じて、貸付料を支払うという考え方だ。

また、今回試算した概算事業費は、302km、1兆5300億円ということで多額に見えるが、北海道新幹線、北陸新幹線、東北新幹線、九州新幹線の合計1,300kmの整備計画全体の事業費が、国鉄改革を議論していた当時の金額で7兆円以上ということを鑑みれば、そのくらいの予算を四国に振り分けてもおかしくないのではないか。

四国への新幹線導入(基本調査結果ケース3)への期待

今回の基本調査結果ケース3は、徳島から松山の県庁所在地を結ぶ案、それから岡山から瀬戸大橋を経由して高知に至るケースであり、調査の結果、費用対効果(B/C)が1.03で1を超えた。この調査は、国の方針、地方で積み上げられた実績データに基づいて算出しており、経済波及効果は、169億円/年間が見込める。

時間短縮効果についても、四国の各県から大阪まで2時間を切って1時間台で走れるということからすれば、競争力という点では、バスその他交通機関との関係でも、安定的な輸送という点で考えても十分競争ができる時間短縮効果であると考えられる。

また、瀬戸大橋は、新幹線が通れるような基本構造になっているということをぜひとも認識していただきたい。レールを敷設する必要はあるが、先人が整備した財産を活用しなければ、宝の持ち腐れになりかねない。

今後の地方創生の一つの施策として、「四国への新幹線は効果がある」ということを知ってもらい、知恵と力を合わせていくべきだ。

   

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